コラム

2023/11/24 外国人技能実習生が失踪する原因や予防方法

失踪

技能実習生の失踪現状とその背景

技能実習生失踪の最新統計と主な原因

2023年、出入国在留管理庁の発表によると、技能実習生の失踪者数は9006人に上ります。これは、技能実習法施行以降、過去2番目に多い数字です。失踪する主な原因は多岐にわたりますが、大きく分けると受入れ企業の問題や実習生自身の経済的な事情が挙げられます。企業側の問題としては、不適切な賃金設定、過酷な労働環境、または暴力的な扱いが原因で実習生が失踪することがあります。実習生側の事情としては、入国時に支払った高額な費用を早期に回収したいという思いにつけ込むブローカーの存在があります。

国籍別の失踪者数の概観

失踪者の国籍別では、ベトナム出身の実習生が最も多く、6016人が失踪しています。これは、失踪者全体の約2/3に相当し、特定の国籍の実習生が特に高いリスクを持っていることを示しています。このような統計は、それぞれの国の社会的・経済的背景と密接に関連している可能性があります。

失踪の主な原因と対策

技能実習生の失踪問題の現状とその背景を理解することは、技能実習生を受け入れる企業にとって重要です。この情報は、技能実習生の安定した就労環境を確保し、失踪問題を減らすために役立つでしょう。

受入れ企業に起因する失踪の要因

企業側の問題としては、以下のような要因が挙げられます。まず、賃金の不適切な設定や未払いが大きな問題です。技能実習生は適切な生活を送るために十分な収入が必要ですが、それが保証されない場合、彼らは他の就労機会を探すことになります。また、長時間労働や休日の不足、劣悪な労働環境も失踪の一因です。これらの状況は、実習生の心身の健康を害し、彼らを失踪に追い込むことになります。

技能実習生自身に由来する失踪の動機

実習生自身の動機としては、主に経済的な事情が挙げられます。多くの実習生は、日本に来るために大きな費用を支払っており、これを回収することが急務となっています。また、家族を支援するためにより高い収入を得たい思いにつけ込み、言葉巧みに接触してくるブローカーの存在があります。

失踪に対するペナルティと予防策

失踪時に適用されるペナルティ

技能実習生が失踪すると、様々なペナルティが適用されます。まず、実習生自身には、日本での就労機会を失うリスクがあります。また、彼らが所属する送り出し機関や受け入れ企業にもペナルティが課されることがあり、これには信用失墜や今後の実習生受け入れ能力の制限が含まれます。さらに、失踪した実習生は将来的に再入国が困難になる可能性が高いです。

法務省の推奨する予防策

法務省は、技能実習生の失踪を防ぐために、受け入れ企業に対して一連の予防策を提案しています。これには、適切な労働条件の提供、実習生の権利の尊重、適正な労働時間の管理、適切な生活支援、文化的な違いへの理解と尊重などが含まれます。

実習生の借金返済計画の確認

実習生が日本に来る際に発生する費用に関して、借金の返済計画を確認し、サポートすることが重要です。企業は、実習生が負担に感じるような返済プレッシャーを抱えていないことを確認し、必要に応じて相談や支援を提供するべきです。

相談体制の整備と監理団体の選定

適切な相談体制の整備は、実習生が直面する問題に迅速に対応するために不可欠です。これには、信頼できる通訳の確保やカウンセリングサービスの提供が含まれます。また、信頼できる監理団体を選定することも、実習生の適正な管理とサポートには重要です。

職種ミスマッチの防止

実習生が自身の技能や興味に合わない職種に配属されることは、失踪のリスクを高めます。したがって、実習生の能力やキャリア目標に合致する職種を選定することが重要です。

特定技能への移行を促進する方法

特定技能への移行は、実習生にとって更なるキャリアアップの機会を提供し、長期的な就労を可能にします。企業は、この移行プロセスをサポートし、実習生がより安定した就労環境を得られるよう努めるべきです。

失踪発生時の対応手順

監理団体への報告と連携

技能実習生が失踪した場合、まず行うべきは、監理団体への報告です。監理団体は、実習生の受け入れや管理に関して企業をサポートする機関です。失踪の事実を速やかに監理団体に通知し、必要な情報を提供することが大切です。また、監理団体と連携して、失踪の背景や原因を調査し、今後の対応策を相談することも重要です。

警察への捜索依頼

次に、警察に捜索依頼を行う必要があります。失踪者の安全を確保し、早期に見つけ出すためには、警察の協力が不可欠です。警察への報告時には、実習生の特徴や最後に確認された場所、可能性のある行方など、詳細な情報を提供することが助けになります。

宿泊施設の状況調査

失踪した実習生の宿泊施設の状況を調査することも重要です。実習生の部屋や荷物から、失踪の手がかりを見つけ出すことができるかもしれません。また、他の実習生や施設のスタッフとの面談を通じて、失踪前の実習生の様子や行動パターンに関する情報を収集することも役立ちます。

失踪問題への対応と今後の展望

失踪問題への対応の重要性と影響

技能実習生の失踪問題への適切な対応は、企業の信頼性と実習生の安全を守る上で非常に重要です。失踪が起きると、それは企業の評判に影響を及ぼし、将来的な実習生の受け入れにも悪影響を与える可能性があります。また、失踪した実習生自身も、不法就労や様々なリスクに晒されることになります。

企業としてのステップと今後の戦略

企業としては、失踪を防ぐための予防策を講じることが重要です。これには、労働環境の改善、適切な賃金の支払い、実習生の相談体制の強化などが含まれます。また、実習生が失踪した場合に備えて、迅速かつ効果的に対応できる体制を整えることも大切です。失踪問題への適切な対応は、企業の責任として重要な役割を果たします。監理団体・送出機関との連携が重要になってきます。